老害の国、日本

なぜ日本から世界的テック企業も、豊かな生活も生まれないのか

アメリカでは、インターネットやAI分野において世界を牽引する企業が次々と誕生している。Google、Facebook、OpenAI、NVIDIA…。これらの企業の創業者の多くは、20代という若さで起業し、世界を変える技術とサービスを生み出した。

一方、日本ではどうか。世界的なインターネット企業はほとんど存在せず、AI分野でも国際的な影響力を持つ企業は限られている。なぜ日本では若者が世界を変える企業を創業できないのか?なぜアメリカには可能で、日本には不可能なのか?

筆者はその理由を「老害」という言葉に集約する。ただし、ここでいう「老害」とは、単に高齢者が社会に悪影響を与えるという意味ではない。「老」とは古い考え方、硬直した価値観を指し、年齢に関係なく、若者であっても古い思考に囚われていれば、それは「老害」になり得る。

若者の挑戦を阻む「空気」と「同調圧力」

日本社会には、挑戦する者を歓迎する文化が希薄だ。学校では「出る杭は打たれる」という言葉が現実となり、異なる意見や行動をする生徒は排斥される。会社でも同様で、奇抜なアイデアや新しい価値観を持つ若手社員は「空気を読め」と言われ、沈黙を強いられる。

この「空気を読む」文化は、協調性を重視する日本の美徳でもあるが、同時にイノベーションの芽を摘む毒でもある。

投資文化の違い:奇抜なアイデアに金がつかない日本

アメリカには、シリコンバレーを中心としたスタートアップ・エコシステムが存在する。成功した起業家が次世代の起業家に資金を提供し、ベンチャーキャピタルがリスクを取って革新的なアイデアに投資する。

日本ではどうか。投資家は安定した事業にしか資金を出さず、奇抜なアイデアや未成熟な技術には冷淡だ。結果として、才能ある若者は海外に流出するか、企業の歯車として埋もれていく。

過去の栄光にすがる日本企業

1989年、世界の時価総額ランキングTOP50のうち、32社が日本企業だった。しかし、30年後にはわずか1社にまで減少している。これは単なる経済の停滞ではなく、構造的な問題だ。

社内では年功序列が根強く、若手の意見は通りにくい。イノベーションは、組織の中ではなく、外からしか生まれない構造になっている。

若者の思考も「老害化」している

問題は高齢者だけではない。若者の中にも、古い価値観に染まり、挑戦を恐れる者が多い。安定志向、空気を読む、波風を立てない…。これらは日本社会で生きるための処世術かもしれないが、世界を変える起業家には不要なスキルだ。

円安と物価高:生活の豊かさすら奪われる構造

15年前、1ドルは90円だった。現在では150円を超える水準となり、円の価値は約40%も下落した。これは、アメリカの商品が50%以上値上がりしたのと同じ意味を持つ。

この影響で、日本人の多くは海外旅行に行けなくなり、住宅購入も一部の富裕層に限られるようになった。円安は、輸入依存の日本経済にとって「生活の質を下げる装置」なのだ。

政治家頼みの思考停止

日本人は、困難に直面すると「政治家が何とかしてくれる」と考えがちだ。だが、政治家もまた「老害」の構造の中にいる。短期的な人気取り政策や、既得権益の保護に終始し、根本的な改革には踏み込まない。

では、どうすればいいのか?

  • 教育の改革:空気を読むことよりも、異なる意見を尊重する力を育てる教育へ。
  • 投資文化の転換:安定志向から、リスクを取る挑戦への資金供給へ。
  • 政治の世代交代:既得権益を守る政治から、未来を創る政治へ。
  • 社会の価値観の転換:「出る杭を打つ」から「出る杭を伸ばす」文化へ。

最後に:老害とは、思考停止の象徴である

「老害の国、日本」というタイトルは、決して高齢者を批判するものではない。むしろ、思考を止め、変化を拒み、挑戦を笑うすべての人々への警鐘である。

老害の国から、革新の国へ。その転換は、私たち一人ひとりの意識から始まる。

読者への問いかけ:あなたの中にある「老害性」を見つめ直す

この記事を読んでくださったあなたは、どう感じただろうか。「老害」という言葉に反発を覚えたかもしれない。あるいは、自分の中にも古い価値観があることに気づいたかもしれない。

重要なのは、年齢ではなく「思考の柔軟性」だ。変化を恐れず、異なる意見に耳を傾け、挑戦する人を応援する。そんな姿勢が、社会を少しずつ変えていく。

私たち一人ひとりが、思考停止をやめ、自分の頭で考え、行動すること。それが「老害の国」から脱却する第一歩になる。

未来を変えるのは、今この瞬間の選択

日本が再び世界をリードする国になるには、若者の挑戦を支える社会構造と、柔軟な思考を持つ市民の存在が不可欠だ。過去の成功体験にすがるのではなく、未来を創る勇気を持とう。

「老害の国、日本」という現実を直視し、それを乗り越えるために、私たちは何をすべきか。答えは一人ひとりの中にある。

今こそ、思考を若返らせよう。未来は、変えられる。


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