暴落に惑わされるな:お金の流れと市場心理を読み解く

はじめに:暴落時に「お金が消えた」と感じる理由

株式市場が暴落すると、ニュースでは「数十兆円が吹き飛んだ」「資産が蒸発した」といったセンセーショナルな見出しが並びます。 証券口座の残高が目減りし、SNSやメディアでは悲観的な声があふれ、まるで世界が終わるかのような空気が漂います。

しかし、ここで立ち止まって考えてみましょう。本当にお金は消えたのでしょうか?

お金は「消える」のではなく「移動する」

市場の活況時、株価や不動産価格が上昇し、「お金が市場に流れ込んでいる」と表現されます。 これは、投資家の期待や信用によって資産価格が上がり、帳簿上の資産価値(含み益)が膨らんでいる状態です。 実際に現金が増えているわけではなく、価値の評価が変わっているだけです。

逆に、暴落時にはその評価が下がり、「お金が消えた」と感じられます。 しかし、これは含み益が減っただけであり、売却しない限り損失は確定しません。 さらに、暴落局面では空売り(ショート)を仕掛けていた投資家が利益を得ていることもあります。 つまり、お金は誰かから誰かへ移動しているのです。

市場に参加していない人の方が多いという事実

日本の家計金融資産のうち、約50%以上が現金・預金で保有されています。 株式や投資信託の保有比率は15%前後にとどまり、アメリカのように株式投資が一般的な国とは対照的です。

このことは、暴落時に損失を被るのは市場参加者の一部であり、大多数の人々はそもそも市場に参加していないという現実を示しています。

景気対策と株価の関係:現金が株式市場を押し上げる

不況時、政府や中央銀行は景気刺激策として金融緩和や財政出動を行います。 これにより、世の中に出回る現金の量が増えます。 現金が増えると、相対的にその価値は下がります(インフレ圧力)。 しかし、価値の下がった現金が株式市場に流れ込むことで、株価は押し上げられるのです。

日本の預金と株式市場の規模比較

2025年時点で、日本の家計が保有する現金・預金は約1,120兆円に達しています。 一方、日本の株式市場の時価総額は約920兆円。 つまり、家計の預金だけで日本株式市場全体を“買い占める”ことが理論上は可能な規模です。

世界との比較:お金の「待機」と「働き方」

国・地域家計の現金・預金比率株式市場時価総額(兆ドル)特徴
🇺🇸 米国約13%約72.2株式・投信の保有比率が高く、資産運用が活発
🇯🇵 日本約51%約7.4預金偏重で、株式・投信の保有比率は15%前後

歴史が示す「回復の法則」

過去の暴落を振り返ると、リーマンショック(2008年)やコロナショック(2020年)など、 いずれも数年以内に暴落前の水準を回復し、さらに上昇してきました。 これは、経済の回復とともに市場が再評価され、資金が再びリスク資産に向かうためです。

結び:狼狽売りを避けた者が報われる

暴落時は、誰もが不安に駆られます。証券口座の数字が赤く染まり、メディアは悲観的な情報を繰り返し報じます。 そんなときこそ、市場の構造と歴史を知ることが、冷静な判断を支える武器になります。

「今は、最も悲観的な場面に思えても、状況は好転する」。この信念を持ち、 狼狽売りをせずに市場にとどまった投資家こそが、最終的に利益を手にしてきたのです。

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