第2章:道具と安全対策――三脚の選び方と怪我を防ぐ鉄則
1.最初に直面した壁と、道具選びの試行錯誤
いざ、庭木の剪定を自分でやってみようと思い立ったものの、初心者が最初に直面するのは、「何処から手を付ければいいのか分からない」という疑問だ。
私自身、最初は実家にあった剪定道具を手に取ってみたが、いつ買ったのかも分からないハサミは切れ味が悪かったり、どの木に使っていいのか分からなかったりした。まず、手探りで使ってみることから始めた。
高いところの作業に欠かせないハシゴは、父が使っていた四つ足のものが一脚あった。
しかし、この四つ足のハシゴは、平坦な足場に置いて屋根の雨樋のゴミを取るくらいの使い方であれば問題ないが、起伏のある植木の根元に設置して剪定作業をするのには不向きだった。
平坦でない庭の地面に設置しただけでハシゴは傾いてしまい、登ることすらできない。
わずかな傾斜、柔らかい土、木の根がある場所は、ハシゴの足場としては危険だ。
そんな不安定な場所で高い位置に登ると、ハシゴがグラリと揺れるため、安心して剪定作業などできない。
安全に作業するために、「道具の選択」を考えた。
知り合いの庭仕事の経験者の話を聞いたり、自分で調べたりした中で、「三脚脚立」が庭仕事では安定しているとのことだった。
2.三脚脚立という選択
三脚脚立は、その名の通り、3本の脚で支える構造になっている。
庭のように地面が完全に平らではない場所で作業するとき、三脚タイプは四つ足の脚立とは異なる特徴がある。
特に、後ろ脚の長さを調整できるタイプなら、傾斜のある場所でも脚の長さを調整して設置できる。
もちろん、三脚だから絶対に安全というわけではない。
地面の状態を確認し、安定した場所に正しく設置することが前提になる。
それでも、以前使っていた四つ足のハシゴに比べると、私にとっては安心して作業できる足場になった。
安定した足場を確保すると、枝を切ることに集中できる。
それまで「倒れないだろうか」と気にしながら作業していたのが、足元を確認したうえで、落ち着いて枝の状態を見ることができるようになった。
庭木の剪定では、ハサミそのものだけでなく、安全に作業できる足場を確保することも道具選びの一部なのだ。
3.ハサミも一本では足りなかった
道具選びで次に購入したのはハサミだった。
最初は、大きな両手用の剪定鋏を使えば作業が早く進むくらいにしか考えていなかった。
しかし、実際に作業してみると、葉や枝の密度が木によって異なり、一本のハサミではうまくいかないと気づいた。
我が家にあったのは、大きな枝を切る両手用の剪定鋏、小さな枝を切るための小ぶりの鋏、果樹の収穫などに使う軽量な鋏など、いくつかの種類であった。
枝の太さや作業の目的によって、使いやすいハサミは違う。
実際に庭木を切ってみることで、どのハサミをどの場面で使えばいいのかを少しずつ覚えていった。
道具は、「高価なものを一つ買えばいい」ということではない。
自分が手入れする庭の木の種類や、作業内容に合わせて使い分けることが大切なのだと思うようになった。
4.最も警戒しているのは「落下事故」
私が10年間、庭木の剪定をしてきた中で、常に頭の片隅に置いてきたのが「怪我をしないこと」だった。
特に注意しているのが、脚立や木の上からの落下である。
以前から、近所の誰かが庭仕事中に落ちて骨折したという話を耳にしていた。
いざ自分が脚立の上に立つようになって、しっかりした足場があっても、ちょっとした不注意や慣れが落下につながると、自分に言い聞かせた。
高い場所でバランスを崩して落下すれば、打撲だけでは済まない可能性がある。
骨折などの大きな怪我につながれば、その後の生活にも大きな影響が出てしまう。
そもそも庭木の剪定を始めた理由の一つは、庭の維持費を減らすことだった。
しかし、「節約のために自分で庭仕事をやった結果、大怪我をして入院や治療が必要になる」ということになれば、本末転倒である。
だからこそ、私なりに剪定をするときの、より安全なマイルールを考えた。
5.事故を防ぐためのマイルール
私が実践している安全のためのルールは、次のようなものだ。
無理をして高いところまで登らない
三脚脚立でも、手が届かない場所まで無理に登ろうとはしない。
「あと少しで届く」と思ったときほど、体を乗り出したり、無理な姿勢になったりしやすい。
届かない場所は、「自分でやる場所ではない」と決めて作業する。
風の強い日は作業しない
高い場所では、風の影響を受けやすい。
特に枝を持った状態では、風によってバランスを崩す可能性がある。
天候が悪い日や風が強い日は、作業を見送る。
雨上がりなどで地面がぬかるんでいる場合も同じだ。
剪定は急いでやらなければならない作業ではない。
安全な日に行えばいい。
道路側の作業には特に注意する
我が家にあるヤマモモの木は背が高く、枝も大きい。
道路側に張り出している枝を剪定するときは、三脚を置く位置にも注意が必要になる。
道路を通る車や人の邪魔にならない場所を確保し、周囲の状況を確認してから作業する。
道路側の高い場所で、無理な姿勢をとってまで作業することは避ける。
自分でやる限界を決めておく
幹や枝が太くて自分の力では切れないもの。
三脚を使っても届かない高い場所。
足場が安定しない場所。
こうしたところは、「自分の仕事ではない」と判断することにしている。
自分でできる範囲と、プロに任せる範囲を最初から決めておくことも、安全に庭を維持するためには大切だ。
6.安全の先にある、心地よい庭づくり
庭木の剪定は、単純にハサミで枝を切るだけの作業ではない。
特に高い木を扱う場合は、足場や天候、周囲の状況など、さまざまなことに注意しなければならない。
庭の手入れを自分でする目的は、無理をしてすべてを自分でやることではない。
自分でできるところは自分で行い、危険なところは専門家に任せる。
その線引きをすることが、安全に長く庭と付き合っていくためには重要なのだと思う。
安全な足場を確保し、自分に合った道具を選び、無理をしない。
そのルールがあってこそ、庭木の剪定を楽しむことができる。
年間12万円の庭の維持費を減らしたい。
その思いから始めた庭木の剪定だったが、実際にやってみると、単なる節約ではない面白さも見えてきた。
次回は、実際に庭木を剪定するとき、「どの枝を切り、どの枝を残すのか」――初心者だった私が、実際の庭で経験しながら覚えていった剪定の考え方について書いていきたい。

