自宅の庭木の剪定をはじめる

はじめに:年間12万円のコストと「庭の負担」に気づいた日

かつて我が家は、家族の笑い声が絶えない賑やかな場所だった。

子どもたちも成長し、それぞれの道を歩み始めて家を出た。かつての6人家族の家も、今では高齢の母と私が暮らす家になった。

家そのものは、長い年月を経て味わいを増している。しかし、暮らしの人数が減ると、かつては豊かに感じていたものが、少しずつ負担に感じられるようになる。

その代表が「庭」だった。

1970年代に建てられた我が家の庭には、時代を感じさせるマキの木や立派な松、ヤマモモなどが植えられている。

以前は家族みんなで手入れをしたり、庭師の方にお願いして綺麗に整えてもらったりしていた。

しかし、高齢の母を支えながら家を維持していくとなると、庭の手入れも簡単なことではない。

そこで現実的な問題になったのが、維持費だった。

庭師の方に依頼すると、夏前と秋の年2回。1回につき2〜3人の職人さんが、2日がかりで作業を行う。

費用は1回につき約6万円。

年間にすると約12万円になる。

一人暮らし、あるいは少人数で暮らす現在の生活にとって、年間12万円という出費は決して小さくない。

「このままでは庭の維持にお金がかかりすぎる」

そう考えるようになった。

もちろん、庭をなくしてしまいたいわけではない。

できれば今ある庭を残したい。

だからこそ、庭を諦めるのではなく、自分たちで管理できる庭に少しずつ変えていくことを考えた。

それが、私の「庭木の剪定」への挑戦の始まりだった。

第1章:自宅の庭は、長い時間を過ごす「癒やしの空間」

自宅という場所の重み

私たちは、人生の中で自宅で長い時間を過ごす。

仕事から帰宅したとき、休日に窓の外を眺めたとき、何気なく庭を見たとき。

そこで目にする景色は、日々の暮らしの一部になっている。

だからこそ、庭の状態も暮らしやすさに大きく関わってくる。

手入れが行き届かなくなった庭は、以前の癒やしの空間から、少しずつ「気になる場所」に変わっていく。

放っておけば木は大きくなり、屋根の高さを超えることもある。

落ち葉が増えれば雨樋の詰まりも気になる。枝が伸びれば、ご近所への越境も心配になる。

さらに、庭木や雑草が茂ると、毛虫などの害虫が発生しやすくなり、蜂などの危険な生き物にも注意が必要になる。

庭は、何もしなくても維持できるものではない。

しかし、だからといって庭を「負担」とだけ考えるのも、少し寂しい。

庭に向き合うことで生まれる豊かな彩り

少しずつでも自分の手で庭木に向き合うようになると、庭に対する見方が変わってくる。

それまで何気なく眺めていた木々が、年間を通してさまざまな表情を見せていることに気づく。

ある木の花が終わると、別の木が新しい芽を出す。

やがて花が咲き、実をつける。

春の新芽から、初夏の深い緑、そして秋の紅葉や実りの季節へ。

自然のサイクルが、自宅の庭の中で繰り返されている。

自分で剪定鋏を持ち、枝を一本ずつ見ていくと、さらに細かな変化にも気づくようになる。

「今年は少し元気がないな」

「ここは枝が込み合っているな」

「この枝を整理すれば、もう少し日が当たりそうだ」

そんなふうに観察する時間が増えていく。

すると、庭は単なる「管理しなければならない場所」ではなくなる。

日々の暮らしを彩ってくれる、身近な自然として見えてくるのだ。

自分の剪定鋏を持つということ

もちろん、庭師の方に依頼すれば、庭は綺麗に整えてもらえる。

自分では何日もかかる作業を、経験のある職人さんなら効率よく進めてくれる。

それは大きなメリットだ。

一方で、自宅の庭を自分の手で整えていくことにも、別の楽しさがある。

特に、これから高齢化によって実家や自宅の庭の維持に悩む人は、少なくないだろう。

毎年の剪定費用が負担になっている人もいるはずだ。

もし、自分の庭を見て、

「少しは自分で何とかしてみたい」

「庭木について、もっと知ってみたい」

と思ったことがあるなら、まずは剪定鋏を手に取ってみるのも一つの方法だと思う。

もちろん、いきなり庭全体を自分で管理する必要はない。

自分にできる範囲から、少しずつ始めればいい。

庭木を一本眺め、枝の状態を観察する。

そして、自分でできる小さな剪定から始めてみる。

そうやって庭と向き合っていくうちに、これまでとは違った庭の姿が見えてくるかもしれない。

私自身も、最初から剪定の知識があったわけではない。

年間12万円という庭の維持費をきっかけに、「自分でできることは、自分でやってみよう」と考えた。

ここから、私の庭木剪定が始まった。

次回は、実際に庭を見回して、どの木から手をつけるのか、そして自分で剪定するために何を準備したのかについて書いていきたい。

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