AIバブルの崩壊は来るのか?
2025年4月以降、株式市場は上昇基調を維持しています。しかし、その直前に起きた「トランプ関税ショック」は、私にとっては比較的予測しやすい暴落でした。実際、下落の兆候を捉え、日経平均のショートポジションに資金を投じることができました。今回は非常に分かりやすい局面だったと言えます。
ただ、これまでの暴落局面では、そううまく立ち回れたわけではありません。たとえば、2011年の東日本大震災のとき。あの日は金曜日で、東京市場が15時に終了する30分前の14時30分頃に地震が発生しました。当時は仕事中で、保有株を売却する時間的余裕がなく、週明けの暴落に巻き込まれてしまった苦い記憶があります。
予測不能なバブル崩壊にどう備えるか
最近では、好調な株式市場を背景に「AIバブルの崩壊が近い」といった論調の記事をよく目にします。しかし、AIバブルがいつ崩壊するのかを正確に予測するのは極めて困難であり、ほぼ不可能だと私は考えています。
株式市場に詳しいとされるアナリストやコメンテーターがメディアで発信する情報も、私にとってはほとんど参考になりません。多くは結果論に過ぎず、どこかで聞いたような悲観論の繰り返しにしか思えないのです。
自分のシナリオを持つことの重要性
結局のところ、重要なのは「自分自身のシナリオを持つこと」だと思います。もしバブルの崩壊を予感させるような兆候を感じ取ったなら、たとえ相場が上昇を続けていたとしても、その最中に株式市場から資金を引き上げる判断ができるかどうかが分かれ目になります。
仮に暴落が予想より数カ月遅れ、その間に株価がさらに上昇したとしても、最終的に暴落に巻き込まれてしまえば、それまでの利益は一瞬で吹き飛び、むしろ損失を抱えることになりかねません。実際、暴落によって資産を大きく減らしてしまう投資家の多くは、「引き際」の判断ができなかったことが原因です。
AI市場の構造を見誤らないために
株式市場に参加している多くの人々は、AIの普及について
- 「将来的に市場がさらに拡大する」
- 「エネルギー需要が高まる」
といった、投資を正当化する情報ばかりを受け取り、今の市場の構造を理解したつもりになってはいないでしょうか。
確かに、AI市場が今後も成長を続けるという見方は根強いです。しかし、それとは異なる視点も存在します。たとえば、AIバブルを予見する要因の一つとして「循環投資」という構造があります。
これは、
- MicrosoftがOpenAIに巨額出資
- OpenAIがNVIDIAのGPUを大量購入
- NVIDIAがその利益をもとに他のAI企業に出資
という資金の循環構造を指します。これは、かつてのインターネットバブル期に見られた「実需を超えた資金の回転」と似た様相を呈しており、過熱感を感じずにはいられません。
もちろん、不安を煽るつもりはありません。ただ、AIバブルが崩壊する際に、明確な「市場からの撤退サイン」が出るとは限らないのです。もし週末の東京市場が閉まった後に何かが起これば、週明けにはすでに打てる手がないという事態も十分にあり得ます。
暴落を経験して学んだこと
私自身、株式投資を始めたばかりの頃、口座を開設して運用を始めてからわずか3カ月でリーマンショックに直面しました。あのときは、あっという間に資産の6割を失い、残った資金も損切りせざるを得ませんでした。その後も何度か暴落に遭い、しばらくは市場から資金を引き上げたままにしていた時期もあります。
それから約17年が経った今、ようやくなんとか市場に参加し続けられるようになったのは、過去の暴落を経験し、自分なりの対策を講じてきたからだと思います。
これから投資を始める人へ
特に最近、株式投資を始めたばかりの方には、自身の資産を守るためにも「市場の怖さ」を知っておいてほしい。だからこそ、私はこの文章を書いています。


