「投資していない」と言うとき
投資していないと言うとき、多くの人は「株式を持っていない」という意味で使っている。
しかし、これは投資行動のごく一部にすぎない。
日本証券業協会の2024年調査では、株式を保有している人は全体の約19.6%。
実に約8割の人が株式を持っていない。
この数字だけを見ると、
「自分は投資とは無縁だ」
と感じるのも自然だろう。
だが、ここに大きな誤解がある。
預貯金だけの人こそ“最も偏った投資家”になる
預貯金として日本円を保有している限り、
本人の意図とは関係なく、日本円という通貨に100%投資している状態にある。
海外資産を持たず、円だけを保有するということは、
為替変動の影響をすべて受けるという意味で、
実は最も偏った投資行動と言える。
「投資していない」という言葉は、
正確には “株式を持っていないだけで、円には全力投資している” という状態だ。
経済を“なんとなく”で理解してしまう理由
経済についても同じ構造がある。
為替や物価の仕組みを体系的に理解している人は決して多くない。
金融広報中央委員会の「金融リテラシー調査」では、
自分を「金融知識がある」と評価した人は27%。
多くの人が、経済を“なんとなく”で捉えている。
この“なんとなく”が、
生活の実感と経済の動きのズレを生む。
コロナ後の6年間で、日本円は何が起きたのか
2020年のコロナ禍では、日本も欧米も大きな経済的打撃を受けた。
しかし、その後の回復速度には明確な差が生まれた。
- 欧米 → 大規模な財政出動で急速に回復
- 日本 → 回復が緩やかで、経済格差が拡大
2020年当時、ドル円相場は105〜110円台。
それが2026年5月には、一時 1ドル160円 まで円安が進行した。
この6年間で、日本円の購買力は大きく低下した。
そしてその影響は、
- 食品
- 光熱費
- 生活用品
といった日常のあらゆる場面に確実に及んでいる。
「投資していない」は、もう通用しない時代へ
円安が進み、物価が上がり続ける時代において、
「投資していない」という言葉は、
もはや“安全な選択”ではなくなっている。
意図せずとも、
誰もがすでに投資の世界に巻き込まれている。
その現実を知ることが、
これからの生活を守るための第一歩になる。


