モレスキンノート10年間続けてみた感想:アイデアを捉えるツール
モレスキンノートとの出会い
モレスキンノートを紹介記事で知る
私は、モレスキンノートを使うようになって、10年になる。いま愛用しているのは、モレスキンノートのハードカバー ポケットサイズ(90mm×140mm)ページ数192頁 の方眼(スクエアアード)である。
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モレスキンノートを知ったのは、雑誌で特集記事を目にしたのが最初であった。作家や画家が使っていたモレスキンノートの展示会を紹介した記事で、そこには、使い込まれ硬いはずの表紙は湾曲し、大きく膨らんだモレスキンノートが、透明な展示ケースに収まっている写真が載っていた。ノートの厚みは、日々の出来事の記事と共に貼り付けられている写真や雑誌の切り抜き、映画のチケットなどがミルフィーユ状に積み重なっており、一見して記録された日常の厚みを感じられ、その使い込まれたノートそのものがアートのように感じた。
その後、書籍『モレスキンノート 伝説のノート活用術』を読んで、色々な職業の人が仕事や趣味など様々な目的に合わせて、表紙や紙面を自己流にカスタマイズして自由に楽しんでいることに興味を抱いた。それまでは、古いデザインの値段の高いノートというイメージしかなかったが、実際に購入した時は、どんな使い方をするかを想像してワクワクしたのを憶えている。
アートとの相性
私の趣味は油絵やイラストなど絵を描くことなのだが、仕事の忙しさもあって筆が進まない日が続き、気がつけば最後に描いた日から十数年が経過していた。
真っ白なキャンバスを前にして、なにを描こうかとアイデアを捻り出そうとするが、なにも浮かばずに数十分が経ち、いつの間にか読みかけの本を読んだり、ダラダラとテレビを観ていたり、しまいには、数時間ひるねをしているなど、不本意にも創作が進まないまま1日が終わってしまう。そんな日が続き、創作への意欲は薄らいでしまっていた。
このような状況を打開する方法はないかと考えていた時に出会ったのが、モレスキンノートであった。何かを描こうと、いきなりキャンバスを前にしても、なにを描くべきかを決めていないと無駄な時間になってしまう。
創作の工程の最初にあるのは、テーマでありアイデアである。最初から全体像が頭の中に浮かぶのではなく、いくつかの断片を集めることで、やっと全体のイメージが湯気のように立ちあがってくるのだが、その断片はふとした瞬間に頭の中に沸くので、忘れないうちに書き留める必要がある。
そうして、意識的にアイデアの断片を集めるようになって。絵を描くためのアイデアに困ることなく、絵を描けるようになった。
私の場合は絵を描くことだが、人によっては小説や小論文であったり、旅行の計画であったりと何か自分で考えて創作したり、計画を練ったりということに通じていると思う。
モレスキンノートになにを書くのか
アイデアを記録する
今日の夕飯の献立は何にしようかと考えていると、テレビに映る食品のコマーシャルや書店で見た料理本の表紙などがやたらと目に入り、夕飯の献立が浮かんだりするように、何らかの必要に迫られているときは、そのテーマに対して関連することに自然と注意が向いているものである。それは小論文のテーマかもしれなし、週末の旅行の観光地かもしれないが、あらゆる悩みや考え事に共通しているよう思える。
意識していないにも関わらず、ふとしたきっかけで解決案やアイデアがひらめく瞬間がある。その閃きは予測不能で、場所や時間を選ばない。それは通勤途中の車中かもしれないし、夢の中かもしれない。
朝、目覚めてすぐは夢の内容を覚えていたとしても、布団から出て洗面台の前に立った頃には忘れてしまっている。という経験は誰にでもあると思う。霧が去るように折角の閃きが消え去る前に、いつでも記録できるようにノートとペンを身近に置いたりバッグに入れておくなど、いつでも書ける環境を作っておく必要がある。私は文字を書く以外にも、イラストを描くこともあるので、水性ペンを数本用意している。
日記を書く
日記を書くためにモレスキンノート購入する人も多いと思うのだが、私の場合は前述したアイデアを書き留めることが中心になっているので、日記としての記録がない日があったり、時には数週間空いていることもあるが、書く内容を日記に限定していないことで、日記の記録がなくても、アイデアの記録だったり、やることリストが日付入りで書かれているのでノートが長期間に渡って空白になることはない。
日記は1日の記録に1ページを目安に書いている。書きたい事があれば数ページ使うこともあるが、モレスキンノートの他にもモーニングノートとしてA5のノートも併せて使っているので、日々の記録としては長くても見開きぐらいで収まっている。1日の記録が数行しか書くことがなくて、空白がもったいないからと同じページに数日の記録を詰め込むと、後で振り返った時に読み辛いので、余白にはイラストを描いたり、広告の切り抜きなどを貼ってもったいないという気持ちに折り合いをつけるようにしている。
何事もなく、これといって書く内容もない日には、数日後に思い出そうとしたら、何に関連付けて今日を思い出せるだろうか?というスタンスで書くようにしている。ノートに数行の記事があるだけで、その記事を手がかりに様々なことを思い出す材料を与えてくれる。
Amazonで【モレスキンノート】を見るモレスキンノートを続けられた理由
あえてルールを決めない
私の場合、優先すべき課題は、日々の気付きやアイデアなどを記録し続けることである。そのためにはどんなノートを使うのが適当なのか、モレスキンノートよりも書きやすく相性の良いノートが見つかっていたら、この10年間の間で別のノートに乗り換えたかもしれないが、今のところ、モレスキンノートが最も長く継続できている。
モレスキンノートを使うようになる以前にも日記を書いていたのだが、半年も継続する事ができなかった。面白いことや、特別なことを書こうとするとハードルが上がって何も書けなくなるので、気楽に構えて、グルメ番組で紹介されていつか行こうと思った飲食店の名前や住所など、ちょっとしたメモも記録している。それでも書く意欲すら湧かない時はあるのだが、そんな時は書かない、と言うより書けない。
いつ?どこで?書くのか
日記帳として売られているものは、ほとんどが一年分のページ数があり、300ページ以上のものだと厚みと重量があって普段持ち歩くには重すぎる。自宅で書くとなると書く時間は1日の終わりに今日の出来事を書こうとするのだが、忙しかったり、疲れていたりと書かない日が数日続くだけで書くことがおっくうに感じられたり、挫折感だけが残ったりして日記帳を購入した時のモチベーションを保つことが難しかった。最初の数ページだけを書いて、しまい込んでいる日記帳やノートがいくつもあるし、すでに捨ててしまったノートも多い。
その点、持ち運びしやすいポケットサイズであれば、外出先のカフェや通勤途中のバスの車内など、どこでも取り出して書くことができる。継続できるノートとは、いつでもどこでも持ち運んで、書くことのできるノートであると思う。
まとめ
社会人になって、時間の進むスピードが速くなっているような気がしていた。昨年の今頃は何をしていた?その前の年は?と考えてみると、全く思い出せないし勤務している場所が同じであったり、1日のスケジュールが全く同じだったりすると、記憶にも記録にも無い日々だけが積み重なっているようで、とても虚しく思えた。日記がなければ、思い出そうにも手がかりすら無いのである。
我ながら、毎日を反省なく無駄に過ごしたツケが、現状に対する不満そのものなのではいかと思うに至り、情けなく思えた。現状打開の策として、まずは日々の記録やアイデアを記録することを継続したいとの思いが、モレスキンノートに出会う下地になっていたのだと思う。
趣味や仕事だけでなく、日常に行う家事に至るまで、現状を反省して改善を試みるという行為は、多かれ少なかれ誰しもが行なっているだろう。モレスキンノートは紙とゴムバンドを張り合わせた単純な作りのノートである。それが、持ち主がいつも身近に置いて、自身の記憶の補助として活用すれば、日常をアップデートさせる強力な道具となり得ると感じている。