おすすめのアート指南書
芸術家を志す若者におすすめの1冊 ロバート・ヘンライ著『アート・スピリット』
今から約100年前の1923年発刊された本書に綴られた言葉は、時を超えて、あらゆるジャンルの芸術家を志す若者に語りかけてくる。
本書は、画家であり美術教師でもあったロバート・ヘンライ(1865~1929)の講義録である。発刊当初から、本国ではベストセラーであったが、約90年が経った2011年に初めて日本語訳が発刊された。
ロバート・ヘンライについては、どちらかといえば無名な画家であり、私は作品を見た事がなかったが、絵画制作の才能の他に、美術教師として生徒たちへ言葉で伝える才能があったことが名著となった所以であろう。
私が本書を知ったのは、映画『ツイン・ピークス』の映画監督であるデイヴィッド・リンチが自身の著書『大きな魚をつかまえよう』の中で、15歳の頃、親友の父であり画家でもあったブッシュネール・キーラーから読むことを勧められた本が『アート・スピリット』であり、芸術家を志すきっかけを与えた本として紹介していたのを読んだからだ。
芸術を志す者の成長過程では、作品が認められない理由は?自分には才能が無いのではないか?このまま芸術家を目指し続けていいのか?オリジナルな作品を産み出す方法は?といった共通する課題や悩みがあると思う。
それは、有名無名に関わらず芸術活動に身を置く者なら、技術を身につけると同等か、それ以上に、周囲からの評価や社会とどう向き合うかといった、芸術に取り組む姿勢も問われるからだ。
かつて、若くして芸術家を志し、悩みや挫折を経て芸術家となった先人の言葉がそこに記されている。