樹木に寄生する 長寿を祝う植物

宿木(ヤドリギ)は、冬に落葉樹が葉を落とすと姿を現す。葉は独特の形状をしていて、クリスマスのスワッグ(壁飾り)の材料として、花屋でも売られている人気の植物である。

宿木は、その名の通り樹木に寄生して成長する、変わった生存手段を持つ植物である。葉が茂っている季節にはその姿は見つけにくいが、冬が近付き風通しの良くなった幹や枝に、まるで鳥の巣のように、緑色の葉を茂らせた球体が見えると発見しやすくなる。

木の枝に寄生したヤドリギ(写真中央) 大濠公園にて撮影

冬に丸い実をつけるのは、鳥の餌となる木の実が少なくなる時期に実をつけることで、種を運んでくれる鳥に実を食べてもらうためである。丸い実は粘着性があって、鳥がその実を食べて排泄物として種が枝にくっつくことで、木の高い場所にも定着して枝に根を張り成長する。

ヨーロッパでは幸運を招くものとしてクリスマスや正月に、日本のしめ飾りのように玄関に飾る風習がある。日本でも古くは万葉集の歌に、古名”ほよ(保与)”の名で登場し、かつては長寿を祝って髪飾りにする習俗があったようである。

私が興味を持つようになったきっかけは、川沿いをジョギングをしてい他時、偶然に榎(エノキ)の幹から葉を伸ばしているヤドリギを見つけたことだ。その寄生している異様な姿からとても珍しいものではないかと思い、写真に撮ってネットや植物図鑑で調べてみた。

榎(エノキ)の幹に生えるヤドリギの幼木

それからというもの、神聖な植物として様々な伝承があることに魅力を感じ、冬が近づくと公園の樹木など、高さのある木の枝に鳥の巣のような形状のものがないかと、つい探してしまう。

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