商業出版と自費出版は別ものです
ずっと前から ”絵本作家になれたらいいな” と漠然と考えていたわたしは”大賞に選ばれた作品には賞金50万円と書籍化・出版いたします” そんな、うたい文句につられて、絵本のシナリオを書いて応募したところ、出版社から封筒が届いた。
〇〇社の絵本大賞という公募企画に絵本のシナリオを書いて応募してみた。入賞作品の発表の日を迎えたものの、何の賞にも引っかかることもなかった。力試しくらいの軽い気持で応募したので、特にがっかりすることもなかったし、次回も公募企画にも応募しようと思っていた。
数週間が経ったある日、〇〇社から封筒が送られてきた。封筒の中には、応募した作品についての評論と一緒に「応募作品を社内で審査した結果、今年の秋に出版することとなりました」
との書類が添えられていた。
は?… 。落選したけれども、出版するとは? 一体どういうことでしょうか?
わたしは心の中で呟いた。
自費出版の会社で書籍化・出版するということは、自分で費用負担することだろうから、これは多額の費用がかかるだろう。しつこく自費出版を勧められたら嫌だな。
などと思って今後のやりとりはしないでおこうと思った。
しばらくして、○○社から絵本の出版についての電話があった。電話口でわたしが
「出版して、自分の作品が売れる自信がないです、出版はやめておきます」
と答えると、それ以降は出版を薦められたり、再び電話がかかってくることもなかった。
今回の件を、知り合いに話すと「今後の足掛かりに出版してみては」との意見が返ってきた。しかし、商業出版でなければ、誰にも読まれない作品を出版する事に意味はないし、出版のプロが出版費用を回収出来ないと判断するのなら、作品の程度が低いのだと考えるのが妥当だろうと思う。
その一方で、出版についての知識を持たない人であれば、出版社の言う通りにしておけば、自分の書いた本が店頭に並ぶと楽観的に考えて、大金を無駄に注ぎ込むことになりかねないし、実際に被害者の会すら存在するようである。
作家を目指す人の心理につけ込んで大金を騙し取る。そんな、悪いイメージを抱いている人が少なからずいるが、そのような事態にならないように、周囲の身近な複数の人にどう思うか意見を聞いてから判断するか。1冊も売れずに出版に掛かる費用が回収出来ない最悪の事態を覚悟して出版するか、とにかくうまい話には裏があると疑って、急いで決断しないことである。