ザ・スミスのフロントマン、モリッシーの来日公演:英語の歌詞に隠された音楽シーンの真実とは?
80年代、テレビで見た番組のあるシーンが忘れられません。ディスコで踊る人々の映像が流れ、興味深かったのは、日本人と外国人が別々の曲に合わせて踊っていたことでした。曲がかかると国籍が同じ人々が同じ曲に反応する、という一幕。その解説によれば、外国人は英語の歌詞で踊るけれど、日本人は歌詞を理解していないからノリで楽しむのだとのことでした。
私も当時洋楽を聴いていましたが、ファンになる決め手はルックスや売れ行きであり、歌詞を読むことはありませんでした。そんな中、毎月手にしていた『ロッキングオン』という雑誌にザ・スミスのアルバムが特集されているのを見つけました。それまでの華やかなバンドとは違い、ジーパン姿のバンドメンバーが異色に映りました。
ザ・スミスは、1980年代にイギリスのマンチェスターで結成された伝説のロックバンドです。ヴォーカルのモリッシーとギタリストのジョニー・マーを中心に、労働者階級の若者たちの憂鬱や怒りを歌った文学的な歌詞と、美しいギターフレーズが特徴で、イギリスではインディーズながら国民的な人気を博しました。しかし、1987年に突然解散してしまい、多くのファンを悲しませました。
その雑誌の記事を読んでザ・スミスに興味を持ち、アルバムを買ってみたら、これまでにない衝撃を受けました。歌詞を読むと、その言葉が心に深く響きました。彼らは自分の感情や思想を率直に表現しており、社会や政治、文化に対して批判的でした。彼らは自らのアイデンティティやセクシュアリティもオープンに語っていました。また、彼らの情熱は音楽や詩、映画、芸術に向けられており、それらを自身の表現の源泉としていました。
ザ・スミスの音楽は私の感性や価値観を拡げ、人生に対する前向きな気持ちを与えてくれました。彼らの音楽を通じて、イギリスの音楽シーンや文化についても深い理解が得られた気がします。
残念ながら、モリッシーの来日公演には行けませんでした。2023年11月28日に豊洲PITで行われたモリッシーの来日公演は、ザ・スミスのデビュー40周年を祝うワールドツアーの一環で、7年ぶりの来日でした。彼はザ・スミス時代の楽曲を含む、自身のキャリアを網羅したベストヒットライブを披露したそうです。
ザ・スミスの歌詞は、それまで知らなかった音楽シーンの真実を教えてくれました。彼らは音楽を通じてメッセージを伝える重要性や、音楽に対する姿勢や情熱を示してくれました。彼は私にとって英国を代表する詩人であり、人生に影響を与えたアーティストです。