金価格はどこまで上がるのか?──生活者・制度・市場から読み解く「金」の現在地と未来

2025年、金価格は歴史的な高騰を見せている。12月中旬、金のスポット価格はついに1トロイオンスあたり4,300ドルを突破し、過去最高値を更新した。これは単なる一時的な高騰なのか、それとも世界経済の構造変化を映し出す「新しい常態(ニューノーマル)」なのか。

本記事では、金価格の上昇を支える要因、誰が買っているのか、そして今後の見通しを、生活者・制度・市場の三つの視点から読み解いていく。

1. 金価格は今どこまで上がっているのか?

2025年12月15日時点での金価格は、以下の通りである:

情報源金価格(1オンス)
Kitco Metals4,298.70ドル(Bid)〜4,300.70ドル(Ask)
GoldPrice.org4,289.31ドル(+0.18%)
Bullion.com4,318.10ドル(Ask)
GoldPriceData.com4,299.92ドル

金価格は年初から45%以上の上昇を記録しており、金鉱株指数も年初来で135%の上昇を見せている。

2. 誰が金を買っているのか?──最大の買い手は「国家」

金価格の上昇を支えている最大の要因は、中央銀行による大量購入である。Bloombergの報道によれば、2023年から続く中央銀行の金買いは2025年も加速しており、過去最高水準を更新中だ。

主な買い手国:

  • 中国
  • トルコ
  • インド
  • ポーランド
  • カタール

これらの国々は、米ドルへの依存を減らす「脱ドル化」の一環として金を買い増している。

3. なぜ金が買われるのか?──制度と市場のギャップ

金が買われる背景には、以下のような制度的・構造的な要因がある:

  • 米国の財政赤字拡大と政府閉鎖リスク
  • FRB(米連邦準備制度)の利下げ観測
  • 世界的なインフレ懸念と通貨不安
  • 中央銀行の外貨準備の多様化(脱ドル化)

制度的な「買い支え」が今後も続くことを意味する。

4. 市場の見通し──金価格はどこまで上がるのか?

機関名予想価格時期備考
ゴールドマン・サックス4,300ドル2025年末ETF流入が想定以上
同上4,000ドル2026年半ば上振れリスクあり
Barrenjoey平均2,900ドル2025〜2029年長期的な上方修正
Citi調整局面入り2025年第3四半期ピークアウトの可能性

5. 生活者にとっての金価格──家計と投資の視点から

メリット:

  • インフレヘッジとしての金投資の魅力が増す
  • 金ETFや金鉱株など、実物を持たずに投資できる手段が拡大

デメリット:

  • 実物資産としての金購入コストが上昇
  • ジュエリーや金製品の価格上昇が家計を圧迫
  • 高騰しすぎると、調整局面でのリスクも増大

6. 金価格と社会構造──生活者の選択が制度を動かす

制度(中央銀行)、市場(投資家)、生活者(家計)の三者が複雑に絡み合う構造の中で、金は「信頼の象徴」としての役割を果たしている。

制度改革を待つのではなく、生活者が自らの選択で資産を守る──その姿勢は、農家からの直接購入やCSA(地域支援型農業)と同様、社会構造を変える力を持っている。

結論:金価格の未来は「制度×生活者」の選択にかかっている

金価格は今後も高止まり、あるいは上昇基調を維持する可能性が高い。しかし、それは単なる市場の動きではなく、制度的な構造変化と生活者の選択が交差する地点にある。

数字と現実をもとに納得感ある選択を模索する姿勢こそが、こうした不確実な時代における最も強い「通貨」なのかもしれない。

参考情報・出典一覧

  1. Bloomberg, “金鉱株指数が年初来135%上昇、金価格は45%高騰”, 2025年10月3日
  2. Bloomberg, “中央銀行が金価格を支える最大の買い手に”, 2025年12月10日
  3. Bloomberg, “ゴールドマン、金価格を2026年に4,000ドルと予想”, 2025年10月1日
  4. WSJ, “Barrenjoey、金価格予想を7%上方修正”, 2025年12月上旬
  5. WSJ, “Citi、金価格は2025年第3四半期にピークアウトの可能性”, 2025年12月上旬
  6. Kitco Metals, Gold Spot Price, 2025年12月15日
  7. GoldPrice.org, Gold Price Chart, 2025年12月15日
  8. Bullion.com, Gold Ask Price, 2025年12月12日
  9. GoldPriceData.com, Gold Price Tracker, 2025年12月14日

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