備蓄米・お米券のあとは? 米価高騰は“先の見えない物価高”の始まり
「お米券が配られたから、しばらくは安心」
「備蓄米が放出されたから、価格は落ち着くだろう」
そう思っている方も多いかもしれません。
しかし、2025年現在、米の価格は下がるどころか高止まりを続けており、これは単なる一時的な物価高ではなく、生活の根幹を揺るがす“構造的なインフレ”の始まりかもしれません。
📈 たった2年で米価は2倍に
総務省の小売物価統計によると、
- 2023年の米5kgの平均価格は約2,300円前後
- 2025年10月には4,909円に到達
わずか2年で2倍以上の値上がりです。
政府は一時的に備蓄米を市場に放出し、自治体によっては1人あたり3,000円相当のお米券を配布しましたが、それでも5kgの米1袋すら買えないのが現実です。
3人世帯で9,000円分もらっても、現在の価格では約9kg分程度にしかならず、年間消費量(約150kg)に対しては6%程度の補助にすぎません。
🌾 農家の声:「今年は収入が増えたから、作付けを増やす」
筆者の知人である農家も、「今年は米価が上がって収入が増えたから、来年は作付けを増やす予定」と話していました。
実際、2024年以降、JAの概算金(農家への前払い価格)は大幅に引き上げられ、コシヒカリで60kgあたり28,000〜31,000円という例もあります。これは2022年の15,000〜17,000円台からほぼ倍増です。
農家にとっては朗報ですが、消費者にとっては価格が下がりにくい構造ができつつあることを意味します。
🔁 コロナ禍の“生産抑制”と“需要リバウンド”のギャップ
2020〜2022年のコロナ禍では、外食・観光需要が激減し、業務用米の消費が大きく落ち込みました。
これを受けて、農林水産省やJAは翌年以降の作付面積を抑制するよう要請し、全国的に生産調整(事実上の減反)が行われました。
ところが2023年以降、観光・外食の急回復やインバウンド需要の増加により、業務用米の需要が急増。
さらに、パンや麺類の価格上昇により家庭内でも米への回帰現象が起き、需要が一気に戻りました。
しかし、供給はすぐには増やせず、需給ギャップが発生。
そこに2023年夏の猛暑・少雨による不作が重なり、2024年には“令和の米騒動”と呼ばれるほどの品薄と価格高騰が起きたのです。
💸 肥料・農機具コストは円安で高止まり
「作付けが増えれば、米価は下がるのでは?」という声もありますが、そう簡単にはいきません。
その理由のひとつが、農業資材コストの高止まりです。
- 肥料価格指数は2023年に147.0 → 2025年も139.1と高水準
- 農機具価格は2025年も過去最高を更新中
- 円安(1ドル=150円前後)が続き、輸入資材のコストが下がらない
つまり、たとえ円高に振れても、2019年以前の「安価な農業コスト」には戻らないというのが現実です。
農家にとっては「高コスト前提の経営」が常態化しつつあり、米価が下がる余地は限られているのです。
🧭 これから必要なのは「支援に頼らない生活設計」
お米券や備蓄米は、あくまで「応急処置」にすぎません。
今後もエネルギーや物流、人件費の上昇が続けば、食料品全体の価格も連動して上がる可能性があります。
だからこそ、今こそ考えるべきは:
- 「支援が終わったあと、どう暮らすか」
- 「今の生活スタイルをこのまま続けていいのか」
- 「“当たり前”に買っていたものを見直すべきではないか」
✅ まとめ:米価は「戻る」のではなく「変わる」
お米の価格は、かつてのように「安くて当たり前」な時代には戻らないかもしれません。
今後は、品質・ブランド・流通形態によって価格が分かれる時代に入ると考えられます。
消費者としては、以下のような備えが重要です:
- ふるさと納税やまとめ買いでコストを抑える
- コスパの良い銘柄米やブレンド米を選ぶ
- 保存方法を工夫してロスを減らす
- 自炊や家事スキルを高めて生活力を上げる
次回は、こうした物価高の時代に「固定費の見直し」や「生活スタイルの再設計」がなぜ重要なのかを掘り下げていきます。
記事の続きが気になる方は、ぜひブックマークを。


