何処から時間は流れてくるのか?(予知夢)

 もしも、未来に起きることを事前に知ることが出来るとしたら? 時間とは、過去から未来に流れる。そんな疑いようのない常識に例外などあり得るのだろうか?

これは、13歳の中学生であった私が体験した、不思議な夢についての話である。

 春、私のクラスに転校生がやって来た。名前を白石ひろみ(仮名)といい、都会から来たせいか、他の女子と比べると大人びた雰囲気がある。背が高く髪は長く肩まで伸びていて、性格は比較的大人しく控えめで、バスケットボール部に所属している。

 ほかの女子と度々比べて申し訳ないが、体型も都会育ち故なのか手足はすらりと長い。それから、顔は目鼻立ちがはっきりとしていて、くっきりした眉毛と大きな瞳が特徴的である。

 私は、彼女の隣の席でもあったため。授業の合間や休み時間に、何かと話しかける機会があったし、どちらかというと気が合ったようだ。この年代の特徴なのかもしれないが、彼女の方は異性との付き合い方を心得ていて、精神的にはクラスのどの男子よりも大人だった。そして、数ヶ月もすると、彼女とはすっかり仲良くなっていた。

夏休みも終わり、新学期が始まって数週間がたったある日、私は夢を見た。

 夢の中には、いつものクラスメイト達がいた。朝礼だろうか?体育館で学生服姿のみんなが整列している。みんな知っている顔である。そんな中、一人だけ見知らぬ顔がいることに気付いた。その女の子を見ると、それは髪を短く切ったひろみだった。

 夢のことは特に気に止めることもなく。朝、学校へ行くと、数人の女子達が集まって何やら楽しげに話をしている。その中心にいたのは髪の短いひろみだった。授業前、担任の先生から、「ひろみさんはお父さんの仕事の都合で明日転校することになりました みなさんとは今日でお別れとなります」との報告があった。

 これまで、転校については、ひろみ本人からも何一つ知らされていなかったので、唐突な知らせに驚いた。別れを知らされた悲しみに加え、不可思議な夢を見たこともあって、内心混乱していた。

 今、あの出来事について振り返ってみると、私とひろみは仲が良かったために特別な精神的な繋がりによって、本来知り得るはずのない情報を得たとも考えられるが、いずれにしても、夢の中で未来を知るという経験をしたのは、事実である。

 彼女とは、その日を最後に会っていない。夢のことも誰にも話すことなく、今日に至っている。

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