「ちょっと待って!」その契約、本当に必要?若者がハマりやすい高額トラブルとクーリング・オフの使い方
大学のキャンパスで、ある新入生が友人にこう話していました。
「無料の肌診断って言われて行ったら、気づいたら30万円のエステ契約してたんだよね…」
これは決して珍しい話ではありません。
社会に出たばかりの若者や、経験の浅い学生が狙われやすい「高額契約トラブル」。
その背景には、巧妙なセールストークと、私たちの「断りにくさ」があります。
でも、安心してください。
そんなときに使える「クーリング・オフ制度」という強力な味方があるんです。
第1章:若者が狙われる理由
1.1 社会経験の浅さがターゲットに
- 新社会人や大学生は、契約やお金の知識がまだ十分でない
- 「今だけ」「あなただけ」といった限定感に弱く、冷静な判断がしづらい
1.2 SNSや街頭での“ナンパ型勧誘”
- 「無料体験」「モニター募集」などの言葉で誘い、実際は高額な契約を迫る
- 特に美容、語学、投資、副業系の勧誘が多発
第2章:実際にあったトラブル事例
事例① 美容エステでの高額契約
「無料体験だけのつもりが、気づけば50万円のローンを組まされていた」
- 施術後に「このままじゃ肌が危ない」と不安をあおられ、即決を迫られる
- クレジット契約とセットで、支払い義務が発生
- 解決策:契約から8日以内ならクーリング・オフで全額返金可能
事例② 副業セミナーでの情報商材
「SNSで“月収100万円”と聞いて参加したら、30万円の教材を買わされた」
- 「今決めれば特別価格」と即決を迫られる
- 実態は再現性のない情報商材
- 解決策:連鎖販売取引に該当すれば、20日以内のクーリング・オフが可能
事例③ 健康食品の“定期購入”地獄
「初回500円のつもりが、2回目以降1万円の自動継続だった」
- 小さく書かれた“定期縛り”に気づかず、解約できないと勘違い
- 解決策:特定商取引法違反の可能性あり。消費生活センターに相談を
第3章:クーリング・オフ制度とは?
3.1 ざっくり言うと…
「一定の取引なら、理由を言わずに契約をなかったことにできる制度」
3.2 対象となる主な取引と期間
| 取引形態 | クーリング・オフ期間 |
|---|---|
| 訪問販売・電話勧誘販売 | 契約日から8日以内 |
| 連鎖販売取引(マルチ商法) | 契約日から20日以内 |
| 特定継続的役務提供(エステ、語学教室など) | 契約日から8日以内 |
| 内職・モニター商法 | 契約日から20日以内 |
※インターネット通販や店舗での購入は原則対象外。ただし、虚偽説明や強引な勧誘があれば別途対応可能。
第4章:クーリング・オフのやり方
4.1 ステップ① 契約書をチェック
- 契約日、販売形態、事業者名、金額を確認
- 書面交付がない場合、クーリング・オフ期間は始まらない
4.2 ステップ② 書面で通知
- ハガキや封書で「契約を解除します」と記載
- コピーを取り、特定記録郵便などで送付
4.3 ステップ③ 返金・商品返却
- 事業者は返金義務あり
- 商品がある場合は返送(送料は業者負担)
▶ 書き方例やテンプレートは 消費者庁のパンフレット に掲載されています。
第5章:もし困ったら、どこに相談する?
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」:最寄りの消費生活センターにつながります
- 国民生活センターのWebサイト:トラブル事例や解決策が豊富に掲載
- 大学の学生相談室や生協:若者向けのトラブル相談に慣れているスタッフが対応
おわりに:知識は“防寒具”、あなたを守る武器になる
高額トラブルに巻き込まれると、金銭的な損失だけでなく、自己肯定感や人間関係にも影響を及ぼします。
でも、知識があれば防げる。
そして、万が一巻き込まれても、「クーリング・オフ」という制度があなたを守ってくれる。
「ちょっと怪しいな」と思ったら、すぐに誰かに相談を。
そして、この記事があなたの“知識の防寒具”になれば嬉しいです。
出典・参考資料:
- 消費者庁『あなたの契約、大丈夫?』パンフレット(PDF)
- 国民生活センター『新社会人の消費者力UP!』資料(PDF)
- 消費者庁『クーリング・オフ等 契約を解約・取り消す方法はクーリング・オフだけではありません!』チラシ(公式サイト)
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的なトラブルや契約内容については、最寄りの消費生活センター(188)などにご相談ください。


