文学の栄光と期待:ノーベル賞に輝くフォッセと待望の村上春樹
2023年10月7日、スウェーデンのストックホルムで行われたノーベル文学賞の授賞式において、今年の受賞者が発表されました。受賞者は、ノルウェー出身の劇作家、ヨン・フォッセさんです。フォッセさんは、言葉にできない感情やテーマに深い洞察を与える革新的な戯曲や散文で知られ、欧州現代演劇を代表する作家として高い評価を得ています。
フォッセさんは1959年にノルウェーで生まれ、1983年に小説「赤、黒」で作家としてデビューしました。彼は児童文学や詩の執筆も手がけつつ、1990年代から戯曲を創作し始めました。特に1996年に初演された「だれか、来る」はその革新性から「21世紀のベケット」と評されました。フォッセさんの戯曲は40以上の言語に翻訳され、日本でも4作品が上演されています。今年のノーベル文学賞の賞金は約1億5千万円であり、授賞式は12月10日にストックホルムで開催されます。
一方で、日本から最有力候補として注目されてきた作家の一人、村上春樹さんは今年も受賞を逃しました。村上春樹さんは1979年に『風の歌を聴け』でデビューし、その後『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『1Q84』などの作品で国内外で多くの読者を魅了してきました。また、フィッツジェラルドやチャンドラーなどの翻訳や、随筆、紀行文なども執筆しています。彼は2006年にフランツ・カフカ賞を受賞し、その後もノーベル文学賞の候補として挙げられ続けましたが、残念ながら受賞には至っていません。
ノーベル文学賞は1901年から続く世界最高の文学賞であり、毎年10月に発表されます。受賞者はスウェーデン王立アカデミーの18人の委員によって選ばれます。賞金の他に、メダルとディプロマも授与されます。過去にはトルストイ、ヘミングウェイ、カミュ、サルトル、ガルシア・マルケス、モリソンなど、多くの名だたる作家がこの栄誉に輝いています。日本からは1968年に川端康成さん、1994年に大江健三郎さん、2017年にカズオ・イシグロさんが受賞しています。